オフィスビルの相続対策とは?相続税・生前贈与・ビル管理の注意点を解説
オフィスビルを所有するビルオーナー様にとって、相続対策は早めに考えておきたい重要な課題です。 オフィスビルは相続税評価額が下がる可能性がある一方で、空室や赤字、老朽化、管理体制の不備があると、相続後の負担になる場合があります。
この記事では、オフィスビルを活用した相続対策の基本と、相続前に確認しておきたいポイントを解説します。
※相続税や贈与税の具体的な判断は、資産状況や家族構成によって異なります。実際の対策は税理士などの専門家にご相談ください。
01.相続対策の目的
オフィスビルの相続対策では、相続税を抑えることだけでなく、相続後もビルを安定して運営できる状態にしておくことが大切です。ここでは、相続対策の基本的な目的と、オフィスビルを所有している場合に確認しておきたいポイントを解説します。
相続税の負担を抑えることが大切
相続対策の大きな目的は、相続税の負担を抑え、相続後も資産を安定して引き継げる状態にしておくことです。
オフィスビルのオーナー様にとって最も避けたいのは、相続税を支払うために、所有してきたビルを手放さなければならないケースです。
オフィスビルは相続税評価額が下がる可能性がある
オフィスビルは、更地や現金で資産を持っている場合と比べて、相続税評価額が下がる可能性があります。
建物がある土地や、賃貸用物件として活用している土地は、所有者が自由に使える範囲が限られるため、評価額が抑えられる場合があるからです。
また、賃貸用の建物についても、他人に貸していることで自由に使用できないため、一定の減額が考慮されることがあります。
つまり、オフィスビルを所有していること自体が、相続税対策につながる可能性があります。
赤字や空室が多いビルには注意
ただし、ビルを所有していれば必ず安心というわけではありません。
空室が多い、収支が赤字、建物の老朽化が進んでいるといった状態では、相続後に大きな負担が残る可能性があります。
そのため、相続税対策では税金の負担を抑えるだけでなく、ビルの収益性や管理体制を整えておくことも重要です。
相続後の運営に不安がある場合は、オフィスビル運営の専門家であるプロパティマネジメント会社に相談することも有効です。
空室対策や賃料管理、建物管理を任せることで、相続後も安定したビル運営を続けやすくなります。
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02.相続税の生前対策とは
相続税対策は、相続が発生してからではなく、生前から準備しておくことが大切です。ここでは、生前贈与を活用した相続税対策と、贈与税で注意したいポイントについて解説します。
生前贈与で相続財産を減らす方法
相続税には、生前に対策できる方法があります。代表的な方法の一つが、生前から財産を配偶者や子どもに贈与しておく「生前贈与」です。
相続税とは、個人が亡くなった時点で所有している財産に対してかかる税金です。つまり、亡くなった時点で所有している財産を少なくしておけば、相続時にかかる税金を抑えられる可能性があります。
そのため、生前贈与は相続税対策の一つとして活用されています。
生前贈与には贈与税がかかる
ただし、「すべての財産を生前に贈与すればよい」というわけではありません。
生前に財産を贈与した場合、一定額を超えると贈与税がかかります。贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた金額に対して計算されます。
贈与額が大きくなるほど税負担も大きくなるため、一度に多額の財産を贈与すると、かえって負担が増える可能性があります。
そのため、生前贈与は毎年少しずつ、計画的に進めることが大切です。
オフィスビルの生前贈与は名義にも注意
オフィスビルや土地などの不動産を生前贈与する場合は、贈与税だけでなく、名義の問題にも注意が必要です。
たとえば、ビルの持分を複数の相続人に分けて贈与すると、将来的に権利関係が複雑になる可能性があります。共有名義になると、売却や大規模修繕、建て替え、賃貸条件の変更などを行う際に、関係者全員の合意が必要になる場合があります。
その結果、必要な判断が遅れ、ビルの収益性や資産価値に影響することもあります。
生前贈与を検討する際は、以下の点を確認しておきましょう。
- 誰にどの財産を贈与するのか
- 贈与税の負担はどの程度になるのか
- 名義が複雑にならないか
- 将来のビル管理に支障が出ないか
- 他の相続人との間で不公平感が出ないか
配偶者控除は居住用不動産が対象
贈与税には、夫婦の間で居住用不動産を贈与したときに使える配偶者控除があります。
この制度は、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭を贈与した場合、一定の要件を満たすことで、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できる制度です。
主な要件は以下のとおりです。
- 夫婦の婚姻期間が20年以上であること
- 贈与された財産が、国内の居住用不動産、または居住用不動産を取得するための金銭であること
- 贈与を受けた翌年3月15日までに、その居住用不動産に実際に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
- 同じ配偶者からの贈与については、一生に一度しか適用できないこと
ただし、この配偶者控除は主に居住用不動産を対象とした制度です。オフィスビルなどの事業用・賃貸用不動産とは扱いが異なるため、活用を検討する場合は税理士などの専門家に確認しましょう。
生前贈与は相続税対策として有効な方法の一つですが、やり方を間違えると贈与税や名義トラブルによって負担が増えることもあります。オフィスビルを所有している場合は、税金だけでなく、相続後の管理や運営まで見据えて進めることが大切です。
03.オフィスビルオーナーが気をつけるべき相続対策
最後に、オフィスビルのオーナーが気をつけるべき相続対策についてご説明します。
1.やり方次第では税金があがってしまう
節税対策と思い、必死に行ったことでも、先程のように贈与税の存在を見落としていたり、将来のビルの収支を視野にいれていなかったりすると、結果として税金が多く発生することもあります。
例えば、オフィスビルの評価額があまりにも高い場合は、オフィスビルをあえて取り壊して更地にしてから相続する方が、かえって相続税が安くなる場合もあるので、専門家によく相談しましょう。
2.オフィスビルの名義に注意
名義が個人の場合→相続税対策に有効です。
個人名義の場合は、土地の評価額が下がるので、個人の資産が減少しているという評価になり、相続税が安くなります。
名義が会社の場合→会社で建築した場合・・・所得税・住民税対策として有効。
会社で建築した場合は物件の収入が全て会社に入るので、会社の利益を複数の役員に分散して報酬として支払うことにより、所得税と住民税を減らすことができます。
これは、不動産オーナー様の年齢などを考慮して、相続税対策が必要なら名義を個人に、オーナー様がまだまだ若いようでしたら、会社名義にして所得税、住民税対策を行った方が良いかと思われます。
オフィスビルの相続対策に関するよくある質問
ここでは、オフィスビルの相続対策に関するよくある質問をご紹介いたします。
オフィスビルの相続対策はいつから始めるべきですか?
オフィスビルの相続対策は、できるだけ早い段階から始めることをおすすめします。相続税対策だけでなく、生前贈与、名義整理、空室対策、修繕計画、管理体制の見直しには時間がかかるためです。相続が発生してから慌てるのではなく、早めに現状を把握しておくことが大切です。
相続税を支払うためにビルを売却するケースはありますか?
あります。オフィスビルは高額な資産ですが、現金のようにすぐ納税資金として使えるわけではありません。納税資金が不足している場合、ビルの一部または全部を売却しなければならないケースもあります。相続前から、納税資金をどのように準備するか確認しておきましょう。
相続人がビル管理に詳しくない場合はどうすればよいですか?
相続人がビル管理に詳しくない場合は、相続前から管理体制を整理しておくことが重要です。テナント一覧、賃貸借契約書、賃料の入金状況、修繕履歴などをまとめておくと、相続後の混乱を防ぎやすくなります。必要に応じて、プロパティマネジメント会社に管理を任せることも有効です。
老朽化したビルは相続前に修繕すべきですか?
老朽化したビルは、相続前に修繕、建て替え、売却、継続運用のどれがよいか検討しておくことが大切です。修繕せずに相続すると、相続人が大きな修繕費を負担する可能性があります。一方で、解体や建て替えには税務上・資金面の影響もあるため、専門家に相談しながら判断しましょう。
オフィスビルの相続で相続人同士が揉めないためには何が必要ですか?
誰がビルを引き継ぐのか、他の相続人にはどのように財産を分けるのかを、事前に整理しておくことが重要です。共有名義にすると、売却や修繕、賃貸条件の変更で意見が分かれやすくなります。遺言書の作成や専門家への相談も含めて、早めに話し合っておくことをおすすめします。
04.まとめ
いかがでしょうか。オフィスビルはオーナー様にとっても、相続者にとっても大切な資産です。相続をお考えの方は、ぜひ、生前贈与などの対策をお早めにして、少しでも資金の流出を防ぐ対策をおすすめします。
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