ファシリティマネジメントとは?ビルメンテナンスとの違いと基本的な役割

ビル運営では、清掃や点検といった日常管理だけでなく、コストや利用状況、将来の変化まで見据えた判断が求められる場面が増えています。
こうした中で注目されているのが、施設全体を俯瞰し、戦略的に管理・活用していくファシリティマネジメントです。従来のビルメンテナンスとは役割や視点が異なり、運営の質そのものに関わる要素として位置づけられます。
この記事では、ファシリティマネジメントの基本的な考え方と、ビルメンテナンスとの違い、ビル運営において果たす役割をわかりやすく解説します。ビル運営のあり方を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ファシリティマネジメントとは何か
ファシリティマネジメント(FM)とは、建物や設備を単に維持・管理するのではなく、施設を経営資源として捉え、最適な状態で活用していく考え方です。対象は建物そのものに限らず、設備、コスト、利用状況、運営体制など、施設運営に関わる要素全体に及びます。
従来の「壊れたら直す」「定期点検を行う」といった受け身の管理だけでは、コストや競争力を維持し続けることが難しくなっています。FMでは、施設がどのように使われているか、運営にとって適切な状態かという視点から見直し、状況に応じて改善を行います。
施設を固定的に維持するのではなく、活かしながら運営していく点がFMの特徴です。
ファシリティマネジメントとビルメンテナンスの違い
ファシリティマネジメントは、ビルメンテナンスと混同されやすい言葉ですが、担う役割や視点には明確な違いがあります。
ここでは、両者の違いを整理していきましょう。
ビルメンテナンスは「日常的な維持管理」が中心
ビルメンテナンスは、清掃や設備点検、保守作業などを通じて、建物を安全かつ安定して使い続けるための業務です。
法定点検や定期作業を確実に実施し、不具合や事故を未然に防ぐことが主な目的となります。
あらかじめ決められた業務を着実にこなすことで、建物を「正常な状態に保つ」役割を担っている点が特徴です。
ファシリティマネジメントは「運営全体を最適化する視点」
一方、ファシリティマネジメントは、ビルメンテナンスを含めたうえで、施設全体をどう活用し、どう運営していくかを考える枠組みです。
清掃や点検を「行うかどうか」ではなく、「今行うべきか」「別の方法が適切か」といった判断まで含めて検討します。
コスト配分、利用状況、将来の更新計画を横断的に整理し、施設を経営資源として捉える点が大きな違いです。
役割を分けて考えることで運営の質が上がる
ビルメンテナンスとファシリティマネジメントは、どちらか一方が優れているという関係ではありません。
日常管理を担うメンテナンスと、方針や判断を担うFMを分けて考えることで、役割が明確になります。
現場任せや場当たり的な対応を減らし、計画性のあるビル運営を行うためには、両者を正しく使い分ける視点が重要です。
ファシリティマネジメントの基本的な役割

ファシリティマネジメントの役割は、施設を「問題なく使える状態」に保つことだけではありません。
施設の使われ方やコスト、将来の運営方針までを含めて整理し、ビル全体をより良い状態へ導くことが求められます。
ここでは、ビル運営において特に重要となる、ファシリティマネジメントの基本的な役割を確認していきます。
コストと品質のバランスを最適化する
ビル運営では、清掃・点検・修繕・更新など、さまざまなコストが継続的に発生します。ファシリティマネジメントでは、こうした支出を個別に見るのではなく、全体像として整理し、「どこに、どの程度のコストをかけるべきか」を判断します。
単にコストを削減するのではなく、品質を落としてはいけない部分と、見直しが可能な部分を切り分けることが重要です。
過剰な管理や惰性的な支出を抑えつつ、必要な部分には適切に投資することで、無理のないコスト構造と安定した運営体制を整えやすくなります。
施設の利用状況を把握し、改善につなげる
ファシリティマネジメントでは、施設が「どのように使われているか」を把握することが欠かせません。
使われていない区画や、特定の設備に負荷が集中している状態は、運営上の非効率や将来的なトラブルにつながるサインといえます。利用状況を可視化し、配置や運用方法を見直せば、施設全体の効率や利便性を高められます。
現状を把握したうえで改善を重ねていくことで、テナントにとって使いやすく、運営側にとっても管理しやすい環境をつくりやすくなります。
中長期視点で施設運営を設計する
設備更新や修繕を、その都度の判断で進めていると、コストや工事時期が偏り、結果的に負担が大きくなりがちです。ファシリティマネジメントでは、将来を見据えた計画を立て、段階的に施設運営を整えていく点を重視します。
短期的な不具合対応に追われるのではなく、数年先を見据えて更新や改修のタイミングを整理することで、突発的な支出や判断の迷いを減らせます。中長期の視点で施設運営を設計することが、結果として安定したビル運営につながります。
まとめ
今回は、ファシリティマネジメント(FM)とは何かという基本から、ビルメンテナンスとの違い、ビル運営における役割について解説しました。
ファシリティマネジメントは、清掃や点検といった日常管理を超えて、コストや利用状況、将来の更新計画までを横断的に捉え、施設運営を最適化していく考え方です。個別対応や受け身の管理ではなく、方針を持って施設を活かしていくことが、安定したビル運営と資産価値の維持につながります。
今回の内容を参考に、ご自身のビル運営にファシリティマネジメントをどう取り入れるべきかを整理し、より計画的な運営を検討してみてください。
西村理兵衛商店では、中小規模のオフィスビルを中心に、施設の利用状況やコスト構造を踏まえたファシリティマネジメント支援を行っています。
管理コストの判断に迷っている、場当たり的な修繕が増えている、長期的なビル運営に不安があるといったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

